2007-04-03 02:28:23
テーマ:旅行記
日本の西の果て与那国島の東崎(アガリザキと読む)は季節外れの寒風に震えていた。
もう暦は弥生・3月、例年ならば強烈な紫外線が肌を焼き、潮風に南国の芳香が匂い始める季節の筈である。地球温暖化に伴う全世界的異常気象がこの孤島にも大きく影響を表し始めた。空は今日も低い雲に被われ、海までもその色を映し、恰も冬の日本海を連想させる。ウインドブレーカーの裾から忍び込む冷気が時折胴震いを喚起する。「Tシャツ、短パンでOKよ!」そんな気楽な準備は真っ赤な嘘となり、家内は盛んに足踏みをしている。太陽は既に中天にあるはずなのに、それにしても寒い。
我々3人はもう小一時間この岬の展望台で話し込んでいる。遠く西に台湾が望める果ての果ての島、周囲27キロ足らずの小島に似つかわしくないホンダ1500CCオートバイが止まっていた事から、長話が始まった。
世に言う「洗練された、粋の漂うチョイ悪親爺」とは対極にある風貌。どちらかと言えば中背、小太り。帽子の端からはみ出している髪の毛がボサボサ頭を容易に想像させる。もう一週間以上剃刀を当てていない太陽光線に磨かれた褐色の髭面。ヤンチャ坊主風の丸顔に好奇心に満ちた目が少年の様に実によく動く。僕は過去に同じような目の動き、輝きを持った人たち何人かに出会った記憶を思い出そうとしている。数は少ないが確かに出会った過去が何回かある。会社、行政組織、団体役員の中では絶対に出会うことの無い微笑み。肩書きを自分の顔と思っている輩では決して発することの出来ない笑い声。
「こ奴はいったい何者だ?」
私には彼を分類する基準が全く無い。まさに得体の知れない代者・・・
(与那国島紀行・2へ続く)